Jan 10, 2012

smoke

あそこに住んで十五年になるけど、
住んでいる地区(パークスロープ)が大好きなんだ。
地球上でもっとも民主的で寛容な場所のひとつに違いないよ。
あらゆる人種、宗教、経済的階級の人が住んでいて、
みんんが大体うまくいっている。
この国の風潮を考えれば、
これは奇跡と呼んでいいんじゃないかな。
(『スモーク&ブルー・イン・ザ・フェイス』by ポール・オースター)

昨年のクリスマスプレゼント(自分への)。
BAMにてsmoke night。
原作は『オーギー・レンのクリスマスストーリー』。
嘘のような本当のはなし。
「誰か一人でも信じる人間がいるかぎり、本当でない物語などはありはしないのだ。」
そう。
どうしてオーギーが、
過去12年間もの間、
毎朝欠かさず七時きっかりに、
いつも決まった交差点に立ち、
まったく同じ場所の写真を撮り続けていたのか・・・。
その理由となる、
ラストシーン。
決して派手なストーリーではないけれど、
登場人物の男達の哀愁、
そして切なさがそこはかなくて、
たまらない。
〜誰もが傷つき、
煙のようにはかない絆を求め彷徨っている。〜

NYで暮らすことになって、
ここブルックリン、
パークスロープで生活することが、
最初の目標だった。
縁あって、
ここでの暮らしも、
気付けば4年以上。
昔付き合っていた彼の影響で読み始めたポール・オースター。
『幽霊たち』の冒頭部分。
「まずはじめにブルーがいる。
次にホワイトがいて、
それからブラックがいて、
そもそものはじまりの前にブラウンがいる。」
こんな一文からはじまる小説を、
読んだことがなかった。
そしてすぐにハマった。
この映画smokeも、
もちろん観たことがあったけれど、
やっぱり、
ここで、
クリスマス直前に、
ポール自身と一緒に、
ポップコーン片手に観る感動と言ったら・・・!
実はここNYで、
ポール・オースターに逢うのは二度目。
一度目はSOHOの本屋の朗読会にて。
(その時は一緒に記念撮影も。)

ランドリーに行く道、
公園に行く道、
デリに行く道、
カフェに行く道、
グリーンマーケットに行く道。
たった今、
毎日過ごしているそのままの風景。
そして映画の中の、
約20年前の過去の風景。
やっぱり私は、
ここだ好きだと思った。
ベビーカーを押す若い母親、
犬を散歩させる人々、
本を片手にカフェでくつろぐ若者、
目が合うと必ず声をかけてくるおじさん、
英語が話せないたくさんの人、
肌の色など関係なく、
みんなが混ざり合いながらハッピーに暮らしている。
お洒落な訳でも、
特別な訳でもないけれど、
今の私の大切な居場所。

I ♥ Brooklyn.

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